学ぶ・知る

創業170年の老舗・安藤醸造、一枚板の景観看板を40年ぶり付け替え

付け替えられた安藤醸造本店の一枚板の景観看板

付け替えられた安藤醸造本店の一枚板の景観看板

  • 0

  •  

 1853年創業で170年以上の歴史を持つ安藤醸造(仙北市角館町下新町)の景観看板が12月10日、約40年ぶりに新しくなった。

一文字一文字を手彫りし、完成まで1か月かかった

[広告]

 看板は、同社専務・安藤雄介さんの祖父が1984(昭和59)年に設置した。長年にわたり店舗前に掲げられてきたが、経年劣化が進み、安藤さんの祖父もその状態を心配していたという。

 付け替えの構想は昨年始まり、安藤さんが木彫工房「角館きがた」(角館町雲然荒屋敷)に相談を持ちかけた同工房は過去に旧看板の塗装修復を手がけた経緯があり、安藤さんとの付き合いもあったことから、依頼を引き受けたという。今年に入ってから本格的に動き出し、素材探しや設計、制作を進めた。

 まず旧看板の柱や構造を調査し、新たに看板を建て替えることが可能かどうかを確認する作業から始まった。角館きがたの佐藤励さんによると、この確認だけでも半年を要したという。素材探しも難航し、最終的に納得のいくケヤキの一枚板が見つかるまでに半年かかった。ケヤキは、地元宮大工である藤井工務店(田沢湖梅沢上谷地)の藤井哲也さんから提供された。

 設計図の作製は、仲野谷工務所(角館町北野)と連携して進めた。看板のサイズは高さ約3メートル、横約62センチ、厚さ約15センチで、旧看板の寸法を踏襲した。

 彫刻には1カ月を要し、両面彫りで仕上げた。書体は旧看板を踏襲し、両面で彫り方が異なっていた点も再現したという。佐藤さんは「彫りの違いから、当時の彫刻主の息遣いを感じながら作業した」と振り返る。「彫刻以外の素材探しや設計などの工程も大変だったが、ご縁やお付き合いが実って、全てが良いタイミングで進んだ。このケヤキの木は、この看板のために生まれてきたのではないかと感じた」とも。

 安藤さんは「温故知新を大事に、細部までこだわった。先代から受け継いできた歴史を、これからも大切に伝えていきたい」と話す。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース