大仙市出身の大学生・伊藤萌さんが市に寄贈した絵本が1月27日から、市内の施設で閲覧できるようになっている。
伊藤さんが寄贈したのは、卒業制作として創作した絵本「ルルとはじめてのしょうたいじょう」。大仙市内の図書館や小中学校、市の観光情報センター、公民館など、市内60を超える施設で閲覧できるようにする。
大仙市立大曲図書館(大仙市大曲)では28日から閲覧に応じている。子どもたちに自分のまちについて知ってほしいという思いから、主に子どもが対象の施設に寄贈する予定だったが、市の計らいにより幅広い施設への配布が決まった。各施設でも今後、閲覧に応じていく。
この絵本は、主人公の秋田犬・ルルが大仙市のマスコットキャラクター「まるびちゃん」や地元の人々と出会いながら、地域の魅力を再発見するストーリー。創作に当たり、伊藤さんは地元の店舗や住民への取材を行い、県内の中学生から寄せられたエピゾードを盛り込んだ。大仙市で18年間過ごした自身の経験と、県外での生活を通じて再認識したふるさとの良さを表現したという。クラウドファンディングも活用し、大勢の支援者の協力を得ながらプロジェクトを進めた。
伊藤さんは「絵本を通して、子どもたちに大仙の魅力を伝えたい。イラストにも力を入れたので、かわいいと感じてもらえるだけでもうれしい」と笑顔を見せる。「大仙にゆかりのある場所も登場するので、読む人に自分のエピソードを思い出してもらえたら」とも。
大曲図書館の館長は「絵本ではなく、郷土資料に分類したい。自分の住むまちについて考えることは少ないので、この絵本が大仙市について改めて考え直すきっかけになれば。幅広い年代の人に読んでもらいたい」と話す。
今後について、伊藤さんは「プロジェクトを進める中で、自分も秋田で何かやりたいけれど行動できていない人が多いことに気付いた。このプロジェクトをきっかけに、田舎だから、地方だからと諦めずに、やりたいことに挑戦してみてほしい」と話す。「4月から県内に就職予定だが、仕事以外の場でも、さまざまな人の夢を支援できるようサポートしていけたら」とも。地元での活動を続ける意欲を見せた。
A5判、36ページ、オールカラー。一般販売の予定はない。