
仙北市の「わらび劇場」で5月6日、新作ミュージカル「秋田は何もない」の上演が始まった。
秋田出身の脚本家・内館牧子さんによる書き下ろしで、秋田弁をふんだんに使った方言コメディー作品。物語は、秋田市内でちょうちん職人の祖父と暮らす女子高生・蕗子(ふきこ・通称バッケ)が、地域の人々と関わる中で「秋田は何もない」と言われるふるさとの魅力をあらためて見つめ直していくという内容。自然や暮らしの豊かさ、人のゆたかさに気付いていく姿が描かれ、地域活性化や移住促進のメッセージも込められている。
わらび劇場のオリジナルミュージカル常設公演30年の記念作でもあり、舞台では「け」「ね」などの秋田弁や、稽古場で発案されたという地元の老舗店などのローカルワードが随所にちりばめられている。
演出・上演台本を手がけたのは、数々の演劇賞に輝くマキノノゾミさん。「内館さんから初めてタイトルを聞いたときは本当に大丈夫だろうかと心配していたが、制作を進めるうち、『秋田には何もない』は、実は『何でもある』という反語的な表現だと気づいた」と語り、作品を「ふるさとを誇る『国褒めの舞台』」と位置付ける。劇中では、アカペラ、メタル、民謡などが融合する12分間の文化祭シーンが大きな見どころで「『ボヘミアンラプソディ』のような合唱組曲をめざした」と話す。「秋田県民であるかどうかにかかわらず、観客が自分のふるさとを思い出し、ふるさとを愛する心の琴線にふれる作品になってもらえたら」とも。
客席からは笑いとため息、歓声が起こり、終演後、鈴木健太県知事は「秋田の人・風土の良さが詰まった、素晴らしい作品だった」と感想を述べた。
125分、2幕構成。全112公演を予定。料金は一般=5,000円、学生=2,500円、観劇と温泉・食事がセットになった「1DAYパスポート」は一般=5,500円、学生=3,000円。11月24日まで。