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中学生の手でよみがえる「ドンパンじっちゃ」 道の駅なかせんで再展示

「ドンパンじっちゃ」に色付けなどの修復作業を行う中仙中学校造形部の生徒たち

「ドンパンじっちゃ」に色付けなどの修復作業を行う中仙中学校造形部の生徒たち

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 道の駅なかせん(大仙市長野高畑)のシンボルとして親しまれてきた「ドンパンじっちゃ」が修復され、11月27日、同施設内に再設置された。

修復前の「ドンパンじっちゃ」の現状をチェックする中仙中学校造形部の生徒たち

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 「ドンパンじっちゃ」は、長年にわたり道の駅なかせんの入り口モニュメントの上に設置され、来場者を出迎えてきたが、モニュメントは老朽化に伴い2023年に解体された。「ドンパンじっちゃ」も廃棄を検討されたが、大仙市中仙支所内から「観光資源として活用してほしい」「残しておけば誰かの目に留まるきっかけになるかもしれない」といった声が上がり、同支所の倉庫で約2年間保管されていた。

 「ドンパンじっちゃ」のモデルとされるのは、「ドンパン節」の元となる唄を作った豊川村(現・大仙市豊川)出身の宮大工・高橋市蔵(匠名=橋一心)で、「東北の左甚五郎」ともいわれた人物。豊川村に建てた立派な家が円満蔵屋敷(後に転じてエマゾ屋敷として知られる)と呼ばれたことから、「円満蔵/円満造(えまぞう)さん」として、地域住民に親しまれた。小柄な体に大きな杉げたを履き、藤を巻いた木をつえ代わりに歩く姿は、仙人のようだったともいわれている。

 今回の再設置は「ドンパンじっちゃ復活プロジェクト」として進められ、中仙支所から依頼を受けて中仙中学校造形部の生徒たちが修復作業を担った。修復期間は今年9月から10月初旬で、部内の有志5人が参加した。修復作業では、剥がれていた塗装を生徒たちの手で一から塗り直したほか、帽子や服にはコスモスの花や「ドンパン」の文字をあしらった装飾を施した。色味は遠くからでも目立つ明るいピンク色を採用したという。現在も「ドンパン祭り」で踊る「ドンパンじっちゃ」の着ぐるみがピンク色だったことから着想を得た。

 中仙中学校の美術科教諭で造形部顧問の田中真二朗さんによると、修復を行った生徒たちは「小さい頃から慣れ親しんだドンパンじっちゃを見て懐かしい気持ちになった」「ぼろぼろになった姿を見て、もう一度地域の人に触れてもらいたいと思い、なんとか直してあげたいと意気込んだ」と話していたという。田中さんは「もともと地域活性化のために作られたドンパンじっちゃだが、2年前に新たな地域おこしキャラクター『桜田まどか』ちゃんが誕生し、存在が薄れていた面もあった。この再生プロジェクトを機に、子どもたちにとってなじみ深い『じっちゃ』を地域の方に忘れられない存在にしようと、真剣に取り組む生徒たちの姿がほほ笑ましかった」と振り返る。

 プロジェクトを担当した道の駅なかせんの菅原直久さんは「想像以上に劣化が進み、かなり傷んだ状態だったが、修復は予想以上の出来で驚いた。設置後は、じっちゃの隣のベンチに座って一緒に写真を撮る人の姿も見られ、活用できて良かった」と話す。

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